アンパンマンを書いた動機

正義っていうのは、

立場が逆転するんですよ。

 

僕らが兵隊になって

向こうへ送られた時、

これは正義の戦いで、

 

中国の民衆を救わなくちゃ

いけないと言われたんです。

 

ところが戦争が終わってみれば、

こっちが非常に悪い奴で、

侵略をしていったということ

になるわけでしょう。

 

それで向こうは

全部いいかというと、

そんなことはない。

 

悪いこともやっている。

 

ようするに、

戦争には真の正義という

ものはないんです。

 

しかも逆転する。

 

それならば

逆転しない

正義っていうのは、

いったい何か?

 

ひもじい人を

助けることなんですよ。

 

そこに飢えている人がいれば、

その人に人切れのパンを

あげるということは、

A国へ行こうが、

B国へ行こうが、

正しい行い。

 

だから、

ごく単純に言えば、

その飢えを助けるのが

ヒーローだと思って、

それがアンパンマン

のもとになったんですね。


僕は兵隊として向こうへ行き、

一晩じゅう眠れなかったり、

泥の中を転げまわったりと、


いろいろなひどい目にあったんですが、

それらは横になって寝ていれば、

なんとか回復してくるんですよ。


ところが、

空腹というのだけは

ダメなんですね。


我慢できない。

年をとってくると、

まあそこまでではないけれど、


若い時の空腹というのは、

ぜんぜん我慢ができないんです。

飢えるってことが一番つらいことなんだと、

その時、身にしみて体験しました。


ですから、

もし正義の見方だったならば、

最初にやらなくちゃいけないことは、

飢える人を助けることじゃないかと思ったんです。


それがずっと

自分の気持ちの中にあって、

戦争から帰ってくると、

いろいろなヒーローが

僕の頭の中を飛びまわっていました。


ヒーローは

悪い奴をやっつけるけど、

ひもじい人を助けるというのはないんだよね。


だから自分が物語を描くんなら、

ひもじい人を助けるヒーローをつくろうと

思っていたんです。


それがアンパンマンを書き始めた動機なんです。

-何のために生まれてきたの?(抜粋)(PHP研究所)-

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One Reply to “アンパンマンを書いた動機”

  1. 総理大臣、ノーベル賞受賞者、他偉い人は、
    人間以外の、動物などから見たら、本当に偉いのだろうか?

    平成狸合戦ぽんぽこ、もののけ姫などを思い出します。

    本当の正義とは、逆転しない正義とは、
    やなせたかし先生が言うように、餓えている人に
    食べ物を差し出すことかもしれないと、最近つくづく思います。

    ボクも、洋服や寝床やご飯など
    いろんな方々から、大切な命を授かり生きている。

    何が正しくて、何が正義なのか、混乱してきた今日この頃。
    ただ、名誉欲で、誰かを傷つけることは
    弱い自分を抑えて、できるだけ生きたいと思って日々戦ってます。

    やなせたかし先生や子供から学び続けたい。

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