一番うれしいこと

人間が一番うれしいことはなんだろう?
 
長い間ボクは考えてきた。
 
そして結局、人間が一番うれしいのは、
 
人間をよろこばせることだということがわかりました。
 
実に単純なことです。
 
ひとはひとをよろこばせることが一番うれしい。
 
 

美しく生まれた人は、
 
その美しさでひとをよろこばせることができます。
 
学問のあるひとは学問で、
 
絵をかけるひとは絵をかくことで、
 
歌えるひとは歌で・・・。
 
なぜおいしいお料理をつくるか。
 
お料理を食べたひとが「おいしい!」と
 
いってよろこぶのがうれしいからです。
 
 

ひとはみんな、よろこばせごっこをして生きています。
 
それが、このいかにもさびしげな人生の
 
ささやかなたのしみになります。
 
ボクらはそんなに長く生きはしません。
 
星のいのちにくらべれば、瞬間に消え去っていきます。
 
それならば、その束の間の人生は、
 
なるべく楽しく暮したほうがいい。
 
そして、その楽しさの最大のものは
 
他のひとをよろこばせることなのです。
 

-もうひとつのアンパンマン物語(PHP研究所)-

コメント

 

チャンスは誰にでも 平等

ボクがいま学生さんにいいたいのは、

自分の好きなことができる職業を探して

ほしいということです。

 

好きなことなら、

労働条件が少し悪くても、

つらいことはありません。

 

ボクみたいに絵が好きなら、

絵をかくことができる職業、

 

音楽が好きで好きでたまらないなら、

音楽家をめざす。

 

スポーツだけは

誰にも負けないなら、プロスポーツとか、アマチュアでも、

そのスポーツが強い企業に入るとか。

とにかく、好きならチャレンジしてほしいですね。

 

現在は、いろいろなコンテストとか、賞とかがかなりありますから、

そういうものにアタックしていけば、道は必ず開けます。

 

やりたいことができる職業というのは、

なかなか難しいかもしれません。

 

でも、

チャンスは誰にでも

平等にあることは確かです。

 

いい学校や先生も、

いまならいっぱいいます。

 

「どうせ、俺なんてダメだ」という人は、

チャンスをつかもうとしていないのではありませんか?

自分の好きなこと仕事にする

小さい頃から
漫画家になろうと思っていたわけではなく、
普通のサラリーマンになろう、と思っていました。

 

 

子ども時代は、

絵や本が好きな、

おとなしい少年でした。

 

勉強をしないで

よく本を読んでいました。

 

小学校の成績は良いほうだったのですが、

中学校に入って、英語や数学など、

勉強をしなくてはできない科目と出会い、

勉強はあまり得意ではありませんでいたから

当然成績もよくない。

 

大学に入ろうと思えば入れないことも

なかったのですが、やっぱり何かがちがう感じがして、

自然に目標を

 

「自分の好きなこと=絵をかくこと」

 と定め、デザイン学校へ進みました。

(参考:その後の経歴はコチラ

 

ボクのイラストは

決して上手ではありません。

 

絵の上手な人はたくさんいますが、

だからといっていいイラストが

かけるかといえばそうではないのです。

 

あるところまでは努力でいけますが、

オリジナリティが必要な世界です。

 

感性のアンテナがあって、

神様のしずくを受け、

自分がかいているのではなく

かかせてもらっているような

ところがあります。

 

この神様からのしずくが

なかったら、

芸術という分野は難しいのです。

 

努力だけでは

無理なところがあります。

 

皆さんも自分の好きなところを

見つけてください。

 

見つからない人は

探し出すことです。

 

好きなものであれば

コツコツ努力する事も

決してつらくありません。

 

楽しみながらいつのまにか

何かをつかむことができます。

 

とかなんとかいっても、

絶えず探し求めていなければ

つかむことができません。

 

チャンスにもめぐりあえません。

 

だからボクらは

失敗を恐れず絶えず

挑戦をくりかえして

 

やっと

つかむのです。

カツカレーの発明家に感動

カツカレーという

ふしぎな

料理があります。

 

ライスカレーとトンカツと

両方食べたいという人のために

創案したのだと思いますが、

 

カツカレーを発明した人に

ボクは感動します。

 

すると、

ウナギ飯と

ビフテキと

 

両方食べたい人のために

ウナテキ・ライスとか、

いろいろ考えられるわけですが、

 

作品のほうも、

いろいろサービスを

考えていると、

 

混乱してくることがあります。

 

このへんが

なかなか難しいところで、

 

ボクの作風を

カツカレー風にいれば、

リリック(抒情敵(じょじょうてき))でナンセンス、

リリナン・ライスというか、

どっちにしても、

 

あんまり上等の

レストランにはおいていない

下俗のものであります。

 

ボクは本質的には

漫画家であって、

あまりにも、

 

純芸術風に

気取った作品を

見ると茶化してしまいたくなるのです。

 

メルヘンの世界というのは

美しく、甘く、夢と幻想を

追いすぎて

テレてしまうのです。

 

 

だから、まあ、

おなじように

気恥ずかしい想いをする人のために

一種の気ばらしの対象としても

アンパンマンをかいたのです。

 

ところで、ボクの画風ですが、

お気づきの方もあるかと思いますが、

サン・テグジュペリの「星の王子さま」

からもっとも多く影響されています。

 

 

あまり上手でなく

精神そのもので

かいているところがいい。

 

あの王子さまを

そのままボク風に成長させたのが、

ヤルセ・ナカスであり、

またボクの絵によく登場する

やせ型の青年です。

 

 

手のひらを太陽にという歌

ボクが

「手のひらを太陽に」

という歌をつくったのは、

もうかなり前のことになります。

 

その頃、漫画としては

まずまず収入を得ていたものの、

どうしても自分の仕事が

気に入りませんでした。

 

時流にあわせた

娯楽漫画が

うまくかけず、

 

すっかり行きづまって

しまっていましたが

 

家族には

ひと言も

話しませんでした。

 

漫画家という

職業は

完全に孤独です。

 

自分以外には

誰に話したって理解できる

はずがありません。

 

冬だったので、

詰めたい手を電気スタンドの

電球にかざして

あたためていました。

 

その時、指の間の

血の色が真紅に

透けて見えたのです。

 

自分は

いまこんなに

絶望しているのに、

 

 

血はせっせと

紅く熱く

流れている。

 

それから無理に時流に

あわせた流行を追う漫画は

きっぱりとかかないことにしたのです。

 

というよりも、

断念して自分の世界だけに

しぼったのです。

 

収入が少なくても、

自分の好きなものだけかくことにしました。

 

そして

「手のひらを太陽に」

という歌をつくったのです。