書籍/BOOK

人生、90歳からおもしろい!

著者
やなせたかし
出版社
新潮社

内容

おそ咲きにしてもおそすぎた!50代後半で大ブレイクし、後期高齢者となった今は、老人のアイドル「オイドル」を名乗る著者。自作のミュージカル出演のために、病院から劇場へ通って青息吐息。講演会当日の朝、前歯がポキン!日々おそいかかる死神と闘いながらも現役を貫き、縦横無尽に人生を謳歌する。アンパンマンの作者がユーモラスに綴る、創作への情熱、そして生きる喜び。

もくじ

1

第1章 ピンピンコロリにあこがれて

2

第2章 老眼可憐のアイドル爺

3

第3章 見あげてごらんYanase星

4

第4章 ちいさな親切三角折り

5

第5章 やなせ小公園育ちの野生の柚子

6

第6章 ヘンとおもえばみんなヘン

7

第7章 色気なければひからびる

8

第8章 山彦・海彦、ふたつのミュージアム

9

第9章 ホオノキはアンパンマンに似ている

10

第10章 お化けがきたりて歌をかく

11

特別対談 戸田恵子×やなせたかし
「人生の後半にこんな展開があるなんて」

はじめに

生まれたときはスペイン風邪 五歳の時に父と死別 青春時代は戦争で シドロモドロに生きのびた
ろくなことは ひとつもなく すべてのひとに おくれをとり なんとか 一歩を踏みだせたのは
五十歳もなかば過ぎ おそ咲きにしても おそ過ぎた あっという間に 九十歳
ここまできたのは マグレだが 勝手気ままに 仕事して
「おれは老人の星なんだ 老いたるアイドル オイドルだ」なんて気取っても
年のせいだと許されよ 九十歳は夢みたい さあこれからがおもしろい
やなせたかし

本について

内容
詳細
文庫
335ページ
出版社
新潮社
言語
日本語
ISBN-10
4101381410
ISBN-13
978-4101381411
発売日
2012/8/27
梱包サイズ
15.2 x 10.8 x 1.4 cm

おわりに

織田信長の時代には人生わずか五十年であったが、今は異論はあるなしにしても人生八十年というところではないか。
ぼくは現在九十歳だから、既に十年オーバーして完全に賞味期限ぎれになってしまったのにまだ現役一線で仕事を続けている。しかもおもしろい。若い頃よりも今の方がはるかにおもしろい。
まだ九十になったばかりだからいばれないが、「人生、九十歳からおもしろい」というタイトルにした。
日本人が年間約三万人自殺するという統計はぼくを悲しませる。実にもったいない。
せっかく生まれてきた貴重な生命を自分で中断してしまうのは残念だ。「九十歳からおもしろい」こともあるなら辛抱して生きてみようと思う人がひとりでもいればいいと思ってこのタイトルにした。でも中味は健康法ではなくて、高知新聞に月二回のペースで現在も連載中の「オイドル絵っせい」から抄録、編集して一冊にまとめ、ごく他愛もない日常の雑感に過ぎない。「どこが人生は九十歳からおもしろいんだ」と、怒りだす人もいるかもしれない。後期高齢者の作者に免じて許してほしい。
ぼくは昔はエッセーを書くのは仕事とは考えていなくて、書きっぱなしで棄てていた。
ところがある日、一通の手紙をいただいた。
「私たち兄弟はやなせさんの文章のファンです。スクラップして時々読みかえしています。(後略)」とかいてあったのでびっくりした。それからは自分でもスクラップして残すようになったが、今でもエッセーについてはまるで自信がない。これで人を喜ばせることができるのだろうか。
足りないところは絵で補うとして、絵っせい、あるいは絵SAYである。
どこから読んでもいいので、退屈な日に気まぐれで読んでください。いくらかでも心のおなぐさみになれば幸甚。九十歳でもなんかおもしろそうと思っていただければ更にうれしい。
二〇〇九年七月 やなせたかし