書籍/BOOK

人生なんて夢だけど

著者
やなせたかし
出版社
フレーベル館

内容

あるときは漫画家、またあるときは絵本作家、シナリオライター、デザイナー、作詞家、作曲家、歌手、編集者等々、マルチクリエイター・やなせたかしの86年の人生が、そのまま戦後文化史となっている。

もくじ

1

第一章 過ぎてしまえば、みんな夢

2

第二章 血潮が熱いあの頃は

3

第三章 若さのほかは何もない

4

第四章 夢の中にも夢がある

5

第五章 ああ、少年は老いやすく

6

第六章 緑の若葉色あせて

7

第七章 たそがれ迫る人生に

8

第八章 時の流れはかえらない

はじめに

ぼくは八十歳を過ぎてから突然作曲を始め、自分でも歌うようになり、八十四歳のときに初めてオリジナル曲を集めたCDアルバム「ノスタル爺さん」をキングレコードから発売いたしました。
意外な展開でありますね。人生のなりゆきは神秘的で、本人も理解不能。
子どものときから歌が下手で、血脈は立派な音痴系。一族ことごとく音楽は不得手。
なぜ、こんなことになるんですかね?
ぼくはカラオケバーとやらへ行ったことも、歌ったこともありません。
作曲といっても楽譜を書くことはもちろん、読むことも全くできません。
浮かんできたメロディーを採譜してもらうという大変心細い手法です。
本当の作曲家ではありません。偽物であります。職業欄には、絵本作家とか漫画家とか記入しています。こっちも大変に怪しくて、偽物っぽいのですね。
代表作はまぎれもなくアンパンマンシリーズですが、これも絵本なのか、漫画なのか、それともアニメーションなのか不明確です。
絵本の代表作は、「やさしいライオン」
作詞の代表作は、「手のひらを太陽に」
しかし、どの部分でも決して第一人者ではなくて、存在感はおぼろげなのは情けない。
そしてぼくの人生は、残念ながらアイマイなまま完結しようとしています。
それでもまだ明日のことがわかりません。
仕方がないのでこの自伝は、ノスタル爺さんのメロディーにのせて書いていくことにしました。
人生なんて夢だけど 夢の中にも夢がある ノスタル爺さんノスタルジー

本について

内容
詳細
単行本
339ページ
出版社
フレーベル館
言語
日本語
ISBN-10
457703008X
ISBN-13
978-4577030080
発売日
2005/2/1
梱包サイズ
18.4 x 13.2 x 2.6 cm

おわりに

中日新聞・東京新聞・高知新聞に連載した自伝「この道」をほんの少し加筆修正して、単行本「人生なんて夢だけど」にいたしました。
実はぼくは「この道」の熱心な愛読者で、このシリーズは旅行しても必ず切り抜いておいてもらって読みました。
最近視力が落ちて愛読書が激変、新聞の連載小説もほとんど読みません。
しかし「この道」だけは、しっかりと読んでいました。全部面白かったですね。
芸能人あり、学者あり、登山家あり、動物園の園長、その他各種それぞれの人生の軌跡がフィクションよりも興味津々。
現在も押しも押されもせぬ直木賞受賞の流行作家なかにし礼氏も、始まりは「この道」からではなかったかと思います。
ぼくも一度ぜひ書きたいと思っていたので、依頼されたときはうれしくてね。勇んで書き始めたのですが、書いて見ると難しい。
一回四百字詰め原稿用紙二枚半ですが、その中で毎回なんとか読者が退屈しないようにと苦心しました。
さしたる人生ではないので、どうしても中だるみしてしまいます。
他人に迷惑をかけるお話は面白いと思っても、小説ではありませんから割愛。
書きながら驚いたのは、漫画以外の部分が予想以上に多かったことです。
自分では本業はあくまでも漫画家で、後は付録だと思っていました。違うみたいですね。
それではなんと言えばいいのか、よくわかりません。お恥ずかしい。
東京新聞の鈴木康彦氏、フレーベル館の熊谷弘司氏には、お世話になりました。感謝しています。
また、写真については、佐藤健三氏の熱意あふれる取材協力がありました。ちなみに氏は、ぼくの学校の後輩でもあったことは奇緑です。
この本の中で使用した写真の中には、多くの人が写っています。全ての人々に心からお礼を申しあげます。ぼくの人生でふとしたことから巡り逢ったのも、やはりひとつの運命のように思います。