詩人やなせ・たかし、原点の詩集。
内容
もくじ
- 1
てのひらを太陽に
- 2
好きな風景
- 3
その風は友だち
- 4
ちいさなテノヒラでも
- 5
ひろった涙
- 6
ともだち
- 7
ごきげんいかが太陽さん
- 8
夜よおねがい
- 9
ジャマスルナ・ワルツ
- 10
すずらんの歌
- 11
バイキン小唄
- 12
ハナの上のレモン
- 13
誰かがちいさなベルをおす
- 14
不安な娘のワルツ
- 15
えくぼの歌
- 16
はしっこのはしっこ
- 17
シミル!
- 18
わかれ
- 19
だれもしらない
- 20
ぼくらはちいさな
- 21
人生はばんざい!
- 22
ある日ひとつの
- 23
あたたかい涙
- 24
愛する歌
- 25
また夜がきて
- 26
今日よサヨーナラ
- 27
ニキビの花咲くころ
- 28
劣等生讃歌
- 29
ばら色のクジラ
- 30
チェックのしま馬
- 31
ふしぎな都会で
- 32
冬のあいさつ
- 33
ヘンナ・ラブソング
- 34
雪の街
- 35
おお!ロンバルジャ
- 36
春のぼーし
- 37
なにかのかたち
- 38
ウマのホネの歌
- 39
気絶するほどの
- 40
あんまり幸福になりたくない
- 41
てのひらのうえのかなしみ
- 42
ちいさな涙
- 43
おもいだしちゃいけない
- 44
みずうみ
- 45
月夜のブランコ
- 46
九月の歌
はじめに
いちばんはじめの言葉をかくのはむつかしいことです。なんといっていいのかよくわかりません。
友だちの漫画家谷内六郎君と電話で話しました。ボクは大いにテレながら、
「つまり・そのオ・詩集なんてものじゃなくて、まア歌謡曲、流行歌のたぐいなんかで恥かしいのだけれど・・・・」
谷内君はしかし厳然とした声でいいました。
「歌謡曲のほうが、現在の詩壇の詩よりもはるかにリッパです。流行曲の中にすばらしい詩があります。詩の本質はそういうものです」
ぼくは心の中にあったモヤモヤしたものがスッキリしたような気がしました。これらの詩は読むためよりも歌うことを主眼においてつくってあります。詩に定型があるはずなく、難解な詩が高級であるとは限らず、いずれにしても心にふれないかということが重要です。
さて、そこで、ぼくの詩は・・・・
本について
- 内容
- 詳細
- 単行本
- 109ページ
- 出版社
- サンリオ
- 言語
- 日本語
- ISBN-10
- 4387910348
- ISBN-13
- 978-4387910343
- 発売日
- 1991/03
- 梱包サイズ
- 17.8 x 15 x 1.6 cm
あとがき
人生というのは大変に面白いものです。なにげなくかきつづけてきたぼくの詩を出版したいという人があらわれたのです。しかも、大いに売りたいというからフシギです。
詩集は売れないということに昔からきまっています。ボクも今までに二冊の詩集をだしましたがいずれも自費出版です。それもほんとの整理の雑記帳のようなものでした。
ところがこの非売品の詩集をほしがる人がおもいがけなく多かったのです。第一集「こどもごころの歌」は絶版になり、第二集は希望者だけに実費でわけましたがアッという間になくなる始末です。
詩集といっても全部曲がついている歌うための歌です。難解な詩は一つもありません。ごくありふれた言葉で、ありふれたこころを歌ってきたにすぎません。
この詩集をお読みになればわかるとおもいますが、NHK「みんなの歌」・「今月の歌」、QR「ミュージック・フォー・ユー」、KR 「今宵歌おう」、NET「モーニングショウ」その他で歌われた曲が相当数あります。何曲かはレコードにもなっていますが、その他にもテーマ・ソングが数曲入っています。
こういうことも考えてみればフシギです。でもボクはマンガと詩というものを全く同一次元で考えています。ふたつともわかりやすく、人生を楽しくするために役立つものでなければならないはずです。
ぼくのマンガも最近商業誌の上での量はへりましたが、かくことは妙に面白くなりました。特に四コマ漫画をかくのは楽しみです。今は長篇マンガ大流行時代ですので、四コマがゆったりした気分でかくことができます。長篇をかく時はいかにも仕事をしているという気分ですが、四コマは自分の楽しみのほうが多いのです。詩の気分と似ています。
近く、色刷りのカード式漫画集も出版される予定で、こんなに面白い仕事ばかりしていて、いいのかと反省しています。
子供のための歌と大人の歌、あるいはラブ・ソングがいっしょくたになっています。きちんと分類しようかと思いましたが、なにげなくバラーとめくって子供の歌であったり、ラブ・ソングであったり、小唄であったりするほうが面白いとおもってメチャクチャのままにしました。とりとめもなくみてください。なお、今年は第二回目のリサイタルをやり、これらの歌の中の数曲をステージで歌います。たいへん苦労もしますが、これがまた何ともいえず楽しみなのです。
できれば、あなたもぜひいっしょに歌ってみてください。
漫画集団 やなせ・たかし